キャリアコンサルタントから見るティール
この記事のために、久々にNewspicksのプレミアム会員になってしまった。NPの思うツボだな笑
ティール組織はここ数年読んだ中で最も興味深い本です。私が考えるティールの要点とは以下の三つの視点でモノを見ようとする覚悟のことです。
1.人を信じる
2.リソースを見る
3.構成主義的モノの見方
1.人を信じる
X理論とY理論の文脈で語られていますが、人を信じて人に接すれば、人はその信頼に自ら応えてくれるということです。そして情報格差を作らないという事です。
ヒエラルキー型の組織では、組織内で情報格差を作る事で立場を維持するマネージャーがいます。一方現場の社員は限られた情報しか持たされていないにも関わらず、主体性を求められるというパラドックスに置かれています。情報も与えられず、疑心暗鬼の中主体性を持てというのは無理な話です。
ティール組織の中では、社員は全ての情報にアクセスできる(全社員の給与情報も含めて)ことが推奨されています。
情報格差を極力なくすことが、社員が主体性を持つために必要なインフラなのです。そしてそのためには「人を信じる」という視点で人を見て組織を運営する思想が欠かせないのです。
2.リソースを見る
自分自身も、他人に対しても、足りない点を見つけて問題として取り上げて、原因究明をしていく問題解決志向が蔓延しています。
いわばコップの水の入ってない部分にばかり注目するわけです。
そうではなくて、コップに入っている水(リソース)に注目をして、そのリソースを使ってどう前に進んでいくか、組織に貢献していくか、理想に近づいていくかを考えるSolution focusなモノの見方をする事です。
お互いのリソースに注目する事で、自信と仲間への信頼に満ちた空間に組織がなってきます。
自分自身を、自分の言葉をあるがままに、肯定的に受け止めてくれる空間に一度身を置いてみてください。とても心地よくて、安心して、自分自身でいることができます。自分らしくいられる組織であることもティール組織では推奨しています。
とはいえ、そんな空間はなかなか見つからないですよね。
そういう空間が身近にない方には、インプロ(即興劇)を観に行くことをお勧めします。
インプロとは台本のないお芝居です。台本がないので、お客様からお題をいただいたりして、話しをその場で創り上げていきます。どうやってそんな事を実現しているかというとそこにはたった一つのルール”Yes and”(相手を否定しないで受け入れて、自分も一つ返す)によって、物語を構成していきます。そこにはどんなに変なことでも、普通のことでも、否定は存在しません。インプロショーにはそういう空間が広がっていて、観に行くだけでも幸せな気持ちを味わうことができると思います。
3.構成主義的モノの見方
これはあとがき近くの章でポストモダンという言葉で改めて説明されています。
要は客観的な事実よりも、その人が見て感じた主観によって世界は成り立っているという考え方です。
この概念は一見分かりにくいですが、これこそがティールが最先端で、現代社会において求められる所以だと思います。
客観的事実と理性だけで考えていても同じような答えしか出せません。主観と感性の世界から人やモノゴトを見ることによって、より人間的で本質的な価値のあるモノを創ることができて、そこに関わる人の自己実現にも繋がる空間を築けるのだと思います。
そして、ティールは客観的で理性的な理論ではなくて、主観と感性といった「モノをどう見ようとするか」という唯一絶対の理論という言葉には表せない概念であるため、帰納法的に実践的取り組みを紹介する方法で紹介をされているのだと思います。
ティール組織自体は割と分厚い本で、一見とっつきにくいですが、今回のNewspicksのティール組織特集では、図解つきで5分で分かる記事にまとめていたり概要が分かりやすいので、是非一度この機会に読んでみて欲しいです(NPの回し者じゃないです)。
ほんとはもうちょっと今回の記事で書いたことの一つ一つを掘り下げて書きたいのですが、長くなるので今日はこの辺で。
ではではまたです。
ではでは。
飯伏幸太と平沢進
プロレスラー飯伏幸太のG1クライマックス2018が終わった。
今年の飯伏は明らかに進化したと思う。
それは優勝決定戦に進んだって事実が証明している。
常に安定的な強さを誇る棚橋選手の様な方も好きだけれど、トランス状態になって戦う飯伏選手の方が波はあるけれど個人的には好きだな。
常に何が起こるのかが分からないっていうわくわく感が味わえる。
恐らく飯伏選手本人も分からないままにやっていて、そのライブ感が楽しい。
飯伏選手の事は、顔のかっこよさだったり、技のキレだったり、色んな所でプロレスやったりが取り上げられること多いけれど、個人的にはトランス状態になるところが好き。
私の中でトランス状態に引き込む音楽と言えば平沢進氏の音楽で、だから飯伏選手と平沢進氏の音楽の相性は良いのではと思う。
そんなことをつらつらと考えながら平沢進氏をwikiで調べていたら、なんとプロレスと繋がりが!
あの長州力「パワー・ホール」やストロング・マシンの入場曲「ハリケーンズ・バム」も「福来良夫」の名義で作曲しているらしい。
できれば飯伏選手の入場曲も平沢さんに作って欲しいなという願いを籠めて。
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悪法も法なり
この言葉は好き。
諸説あるみたいだけれど、ソクラテスの言葉が語源になっているらしい。
この言葉に行きついたのは確か、パラドックス定数という劇団の芝居「東京裁判」で語られた台詞「法は絶対である、故に平等である」だったと思う。
僕自身、これまでに全ての法律を守れている自信はないけれど、でもどんな法律でも守ろうとする意志を持つからこそ、悪法は正そうというエネルギーになると思うから。
法律家とか弁護士っていうと、今ある法律の中でどう生き抜けばよいのかを教えてくれる人ってイメージの方があるけれど、本当はより良い社会、より良い世の中にするためにどういう法律であるべきかを考える気概のあった人こそが真の法律家だと思う。
この法律家って、実は僕ら自身の中に身近に存在していて、僕らが法律家であれると思う。
住んでいる地域や、会社だったり団体だったりにも、大きなものから小さなものまでいろんな規程やルールがあると思う。
その中には、非効率だったり、誰かが困ったりしている悪法もあるだろうし、あるいはある仕組みや決まりを入れることで、もっとハッピーは人ができる場にできるかもしれない。
ピーター・ドラッカーを日本に紹介し、ソフトバンクの孫正義氏、HISの澤田氏、パソナの南部氏の師匠である野田一夫先生という方がいて、僕も一応野田先生の生徒の一人だけど、野田先生の「愚痴を言うなら提案をしろ」って言葉をよく覚えてる。
悪法である現状に愚痴を言ってても仕方がない。良くするための提案を考えようって。
そのエネルギーを持つには、悪法だろうがなんだろうが、現状を愚痴を言って斜に構えるんじゃなくて、まっすぐに受け止めることなんだと思う。
きっとソクラテスはそう言いたかったんじゃないかなと。
死刑という裁判の結果を、弟子たちの必死の説得にもかかわらずそのまま受け入れたソクラテスの弁明から受け取った今日この頃。
文章が全然まとまらなかったけれど、たまには頭の中垂れ流しの文章でも良いかなと。そのまま垂れ流してみた。
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元大学職員が語る裏口入学の話
東京医大は「裏口入学リスト」を作成して、入試の点数に加点をするといった不正入試をしていたことが問題となっています。
また、その対象者には文部科学省の局長が関わっていて、私学助成金の認定と引き換えに息子を合格するように依頼をしていたことも、この件の大きなポイントです。
この問題に関して、少なくとも私の周りの教育関係者からの意見はほどんど語られていません。それは日大の問題もしかりですが、大学に関わらず、教育関係者はこうした問題についてもっと発言をして、自らを律するべきだと思いますし、そうした状況の中ででも発言している教育機関こそ、ほんとうに信頼できる教育機関だと思います。
今は教育機関から距離を置いている立場の人間として考えを述べてみたいと思います。
結論から言うと、文部科学省側の人間が、補助金をニンジンにして個人的あるいは組織的な利益を得ることは許されることではありません。
一方、そのニンジンに食いついて不正入試を行った東京医科大が行ったことは良くありませんが、コネ入学自体については現在も一般に行われていることであり、それを不公平でずるいと感じる人はいるかもしれませんが、一定の範囲で行う分には認められるのではないかと思っています。
本件の内容について、この問題を形成している私学助成金の背景や、入試運営の実情なども含めて元大学職員の私が(ざっくりですが)解説します。
【私学助成金の背景】
私学助成金は簡単に言えば、私立大学に対する国からの補助金で一般補助と特別補助に分かれています。
もともとは学生数や教員数等の条件に応じて分配する一般補助がほとんどでしたが、最近では一般補助金の割合を減らして、教育研究に関する特色ある取り組みに応じて配分する特別補助の割合が増やされているというのが昨今の状況です。
平成 29 年度 私立大学等経常費補助金交付状況の概要http://www.shigaku.go.jp/files/s_hojo_h29.pdf
これは、文科省側から、大学の教育改革を進めよというメッセージなわけですが、要するに、文科省が望むような方向性に補助金をぶら下げて大学を導こうとしているんだなと大学職員時代に私は感じていました。
まあ、一般企業と比べて大学の危機感や変革のスピードが遅いのは確かなので、助成金をいわばニンジンにしてでも改革を促さないと、国際的な高等教育競争に立ち遅れてしまうという文科省の認識もあったのかなとも思います。
私学助成金の背景の話しに戻ると、流れとしては小泉政権時代の所謂「聖域なき構造改革」という掛け声のもとに、大学にも競争を促そうという流れの一つで補助金も文科省が認める活動をした大学に対して多く支給するという傾斜配分をする事になりました。
また、大学を新しく作る際の大学設置認可基準もゆるくなったため、新しい大学や学部が多くできるようになりました。そして批判の多い名前を聞いても良くわからない学部名が乱立したわけです。
【私学助成金を餌につかうこと罪】
国の補助金や助成金には、あらかじめ想定された支給先がいる(支給先に意見を求めながら補助金や助成金の仕組みを作る)ことはよく言われていることですが、それでも市場の原理による競争を促している文部科学省の幹部が平等な競争の原理を台無しにするようなことを行ったことの罪は重いです。
極端に考えれば、平等な競争の原理を逸脱して、補助金を得た大学があれば、限られた予算の中でもらえない大学も出てくるわけです。また、ブランディング事業が実施できなかったために競争に負け、潰れる大学が出てきてしまった場合にどうやって責任を取るのでしょうか。
公正な入試や教育を行うよう指導すべき立場の人間がこうした犯罪を行うことの罪も重いです。こうしたことの一つ一つが教育機関全体の倫理観を引き下げることに繋がるからです。
実際に今回の事件でも出てきたようなコンサル会社がはびこったり、文科省の役人が天下り先として大学教職員になっている例も多くありますが、個人的にはこうした実情も、高等教育機関の倫理観を損なうことに繋がることを危惧しています。
文科省出身の教職員がいる大学は、その人数を公表すべきだと思います。
【大学関係者からみた不正入試の内情】
先ほど少し日大の問題について触れましたが、東京医科大学の入試担当職員は日大アメフト部のタックルをした学生と同じ気持ちだったのではないかと思います。
不正入学を指示したのは前理事長と前学長ですが、入学手続きというものは理事長と学長のみでは行うことはできません。
一般的な一般入試の試験後の手続きはざっくりいうと、
①採点担当教員が採点
②職員が取りまとめて合格ラインを検討するリストを作成する
③入試委員会にて合格ラインと合格者を合議で決定する
④教授会にて承認
⑤合格発表
といった流れです。恐らくですが、上記の流れでいうと、前理事長と学長は②と③に関与して、入試担当職員(恐らく入試部長級)と入試委員長へ指示をして、点数の操作を行ったのだと思われます。
大学関係者以外の方には、理事長と学長の違いが分かりにくいかもしれませんが、理事長は学校法人の経営を担う者で、学長が教育内容を決定する者です。
どのような教育をすべきかやどういった教員を採用して、教員の人事を決めるのは学長ですが、基本的に予算を握っているのは理事長です。
そのどちらの責任者からも指示があった場合に、大学という閉じられた世界の中で、それを拒否することは非常に難しいと思います。
【コネ入学の是非】
一般入試という制度の中で、特定の者のみに不正に得点を操作して合格をさせることは許されないことですが、一方でコネクションを利用して入学をすることの是非は賛否が分かれるところだと思いますし、必ずしも悪だとは言い切れないと思います。
例えば今回文科省の政策局長が、補助金事業の申請書の書き方を指導した音声が流れていますが、推薦入試やAO入試では、公式に入試対策講座と称して受かるためのコツを教えている大学も多くありますし、非公式に特定の高校や予備校の生徒に対して指導をすることも行われています。
また推薦入試やAO入試では、ペーパーテストと違って評価は面接官次第ですので、やろうと思えば特定の生徒に対して合格にすることも可能です。
ですので、文科省が特定の大学に補助金の便宜を図ることは明らかにいけない行為だと思いますが、東京医科大側としては、もしどうしても特定の生徒を合格させたかったのだとすると、推薦やAO入試を用意するか、一般入試でその生徒のラインまで合格ラインを引き下げるくらいのことをすれば、少なくとも入試不正には当たらなかったのだと思います。
米国ではコネや寄付金を多く積む人を優先的に入学させることは多くあることはよく聴くことです。コネというと悪いイメージがあるかもしれませんが、日本でも親や兄弟がいる子どもを優先して合格させる学校は多くありますが、それも言ってみればコネです。また企業へコネクションを通じて入社するコネ入社も一般的に行われていることです。
要するに個人的な見解としてはコネ入学をすること自体が悪なのではなく、コネ入学を認めるのであれば、事前にあらかじめそれを受け入れられる制度を設けて行えば、少なくとも私立大学については問題ないというのが私の見解です。
いかがでしょうか、今回の問題の背景について少しでも理解が深まりましたら幸いです。
キャリアコンサルティング保険は不十分?
キャリアコンサルティング賠償責任保険制度の案内が、所属している日本キャリア開発協会より届きました。
詳しくは上記リンクに記載されていますが、簡単に言うと、キャリアコンサルティング(以下「キャリコン」)を行う上で損害賠償請求をなされて法律上負担すべき損害費用の保障(1億円)及び、見舞品などの初期対応費用(30万円)も保障されるという内容です。
年間2,400円で入れるので、キャリコンを生業にする方には一見備えになりそうな保険ですが、ちょと疑問です。
理由は以下の3つです。
①まず、損害賠償請求を誰かに起こされることと、裁判で負けて実際に賠償責任を負うことは違います。
世の中色々な人がいますから、中にはキャリア支援を行っているなかでこじれ、名誉棄損で訴えられる事があるかもしれませんが、一定以上のスキルと経験を持つコンサルタントが行う支援について、裁判で賠償責任が課せられる事態があまり想像できません。
②初期対応費用の想定が見舞い品となっていますが、見舞い品の費用に対しては保険で備える必要性は感じません。
③弁護士費用の保障がない
キャリコンの為の保険制度自体は、キャリコンを生業とするうえではある方が安心できると思います。世の中色々な人がいるため、まったく身に覚えがないことででも突然訴えられるといった可能性は否定できないからです。
であるならば、訴えを起こされた際に、弁護士を立てて裁判もしくは和解交渉を行い、できるだけ解決に向けた精神的、金銭的負担を減らし、リスクを下げることができる保障内容が最も必要ではないでしょうか。
私の想いとしては、キャリコンが世の中一般にもっと自然に広まって欲しいし、広まるべきだと思っています。
その上では、キャリコン保険といった制度がある方が望ましいとは思いますが、その内容についてはもう少し見直しても良いのではないかと思いました。
国家検定2級キャリアコンサルティング技能検定 学科問題集 第4版
- 作者: 東京リーガルマインド LEC総合研究所キャリアコンサルタント試験部
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