イガワヒロトのブログ

志について探求を続けるイガワヒロトが、いつまでも青臭い心(ブルーハーツ)でニュース・社会・政治・教育・作品(映画、演劇、インプロ、音楽、本、DVD、TV番組・ラジオなど)の批評や日常の思った事を青っちろい言葉で記事にします。※記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属団体の公式見解ではありません。

日本人の「空気を読む」について考える

僕が好きで良く観ている「100分で名著」のスペシャル番組「100分de日本人論」が放送されていました。

この番組から、日本人の「空気」への感性についての話しのメモ。

■河合 隼雄著の「中空構造日本の深層」を中心に話し合われていた。

古事記の謎の神

古事記に登場する3神のうち、アマテラス、スサノオには多くのエピソードがあるが、ツクヨミみはほとんど触れられていない。当時は太陽暦ではなく、太陰暦を用いていたので、月は重要な役割を果たしていたのにもかかわらず。

・同じように、3人の神がいると、真ん中の神はなにもしないという構造を発見した。

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この法則性をもとに、河合は日本文化は二元論だけでは世界はできていない。天と地だけではなく、それ以外のもう一つの要素=中空が必要であると考えた。

・西洋の神は在る神。日本の神は成る神。在る神と成る神だけではなく、実際に何か行動を起こすわけではないが、日本思想にはもう一つの神が存在する。

弁証法では正と反があり、合ができる。

日本にはそういう二元論はなく、最初から三つの要素が組み合わされて成り立っている。

二元論ではどちらかを排除することになるが、三原論では、どちらもどちらの要素を取り入れて一つの答えを導き出していく構造になっている。

ユダヤ教のような一神教では、自分以外の要素を受け入れない、排除する文化があるため、日本の「取り入れる」文化とは異なる。

この様な日本思想は相手を倒そうとする文化ではないため、敵との戦いには弱い。

その代わり、相手も取り込んでいこうとする力はあるため、共存はしやすい。

・こうした日本思想ゆえ、政治では二大政党制は定着していない。

空気にまかせ、誰が事を運んでいるか分からないが、なんとなく事態が動いていく。

これも一種の中空構造。だれも中心がいるわけではない。

・リーダーシップでも神輿は軽いほうが良く、真ん中の参謀が固く重いほうが良い。

・マイルドヤンキー:地方で、上京をしたがらず、ヤンキーっぽい行動をする。

今は地方のマイルドヤンキーが、祭りを支えている。倫理性と不良文化が融合しているのは日本独自。

・中空構造のデメリットは同調圧力が高まりすぎること。

そういう思考を持っていない人にとっては生き辛い。

マイノリティが行きづらくなる。中間層は良いが両端は生きづらい。

・中心が空であることは、一面きわめて不安であり何かを中心におきたいと思う心理が働くこともある。

中空には何もないため、空気に左右されてしまうこともある。自覚を持って変な空気が入ってしまうことに対処をする必要がある。

ブラックジャックによろしく1巻P150

ブラックジャックによろしく」 佐藤秀峰著 漫画 on webより

なんと、古事記の時代から、日本には「空気を読む」文化が存在していたようです。

このことについて向き合う姿勢として大切なことは、この「空気を読む」文化を良いとか悪いとかという視点で見るのではなく、現にそういう文化があるのだから、その上でどう対処すべきかと考えることなんだと思います。

池上彰さんは「伝える力」(PHPビジネス新書)の中でこう言っています。

日本にはいわば「けしからん罪」が存在しています。

それは、法律には違反していないけれど、何かけしからんよね、という多くの人たちの気持ちであり、感覚、空気です。

(中略)

これは理屈ではなく、庶民感情です。

たとえ法律に違反していなくても、なんとなくけしからんと思った行為や人は糾弾されてしまう。そうした風潮が日本にはあります。

(中略)

これは、言ってみれば嫉妬です。

これは決してよい反応とは思いません。私はこういう態度は大嫌いですが、でも、多くの日本人が多かれ少なかれ持っている感覚です。

「嫉妬社会」の側面を持つ日本では、たとえすべてがうまくいっていても、それを声を大にして言うのは慎むのが懸命でしょう。

良くも悪くも、日本には、理性と、感情と、もう一方の「空気」によって、物事が進み、決まっていく分化があり、歴史があります。

そして、これはすぐに変わるものではないでしょう。

こうした我々自身の特性を理解し、歩みを進めていくことが、グローバルに、そしてローカルに生きていく上で欠かせない要素であると思います。

伝える力 (PHPビジネス新書) 池上 彰 (著)

現代語古事記: 神々の物語 (学研M文庫) 竹田 恒泰 (著)