井川ヒロトのブログ

志について探求を続ける 井川 ヒロト が、ニュース・社会・政治・教育・作品(映画、演劇、インプロ、音楽、本、DVD、TV番組・ラジオ)などについて思った事を綴ります。※記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属団体の公式見解ではありません。

祝婚歌(吉野 弘さん)

祝婚歌

(2010-04-04はてなブログ掲載記事を加筆修正。)

小学校からの友人の結婚式で、その友人の小学校時代の担任の先生が朗読してくれて知った、吉野 弘さんの「祝婚歌」を紹介したい。

とっても感動したから。

祝婚歌』 吉野 弘

二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい

立派すぎることは

長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には

色目を使わず

ゆったり ゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そして

なぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい

作者の吉野弘さんは、この歌を民謡と同じものだとおっしゃって、著作権は特に示さないとおっしゃっているそうです。

とても心の広い方だなと、改めて感動しました。

吉野 弘「贈るうた(花神社)」