井川ヒロトのブログ

志について探求を続ける 井川 ヒロト が、ニュース・社会・政治・教育・作品(映画、演劇、インプロ、音楽、本、DVD、TV番組・ラジオ)などについて思った事を綴ります。※記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属団体の公式見解ではありません。

池上彰のやさしい経済学 第八回 インフレとデフレ~合成の誤謬

昨年BSジャパンで池上彰のやさしい経済学という番組が放送された。

池上彰「政治と経済のしくみがわかるおとな事典(講談社)」

非常に興味深かったが、残念ながら私の家ではBSが観られないため、1回あたり2時間(講義は90分)、14回連載の番組だが、実家で録画してもらった。

それをやっと少し最初の数回観ることができたため、その講義メモを書いておきたい。

以下、講義メモ。

池上彰のやさしい経済学 第8回 インフレとデフレ~合成の誤謬

(第5回~7回は録画できなかったため、今回は第8回のメモ)

インフレ:物価の持続的な上昇。物が値上がりしそうと感じて、皆がその物を買う。需要が増えればさらに値段が上がる。そうして物価が上がること。

デフレ:物価の持続的な下落。物が売れないのでモノの値段が下がる。そうすると利益率が下がり給与が下がる。給与が下がるので皆が物を買わなくなる。だからさらに物が売れなくなりモノの値段が下がる。

牛丼戦争がデフレ時代の一端を表している。

合成の誤謬:インフレの際には、本当は皆が物を一時的に買うことを我慢すれば、インフレは収まる。デフレの際は、

3C クーラー、カー、カラーテレビ

池田内閣:所得倍増計画。生産を増やせば所得が増える、所得が増えれば消費が増える。消費が増えれば生産が増える。政府は減税をする。そうすればさらに・・・

1973年第4次中東戦争と狂乱物価。1年間で物価上昇率が20%を超えた。

重油の値段が上がると物を運ぶタンカーや車を動かすガソリンの値段が上がる。そうするとその商品のコストが上がる。そうしてインフレを引き起こした(オイルショック)。

インフレには2種類ある。

■ディマンド・プル・インフレ:需要が増えてモノの値段が上がること・・・高度経済成長期

■コスト・プッシュ・インフレ:コストが上がりモノの値段が上がること・・・オイルショック

消費者物価指数(CPI)1946年8月~

消費者が購入する様々な商品価格の平均的な変動を測定した変数。

600品目の購入物資を選び、それがいつ、いくらで買われているかを確認する。

5年に一度、その600品目を入れ替え、次代にあったよく買われるモノとあまり売れなくなったものを入れ替える。

過去にインフレで多くの国が困った。例えば第一次世界大戦後(1914年~18年)のドイツでは、フランスからの戦時賠償金の支払いなどで、ドイツは国債を大量に発行し、その国債の分お札を刷り、ハイパーインフレが起きた。

パン一個が一兆マルクになった。一日の間にもモノの値段がどんどん上がっていった。なので人々は給与が入ると、モノの値段が上がってしまう前に、一気に買占めを行った。そうしてさらにインフレが加速した→合成の誤謬

これに乗じて権力を握ったのがヒットラー

ドイツはデノミネーションを行った。一兆マルクを1マルクに読み替えた。単位通過の切り下げを行ったら、心理的にモノの値段が下がったと感じてインフレが収まった。

北朝鮮でもデノミを実施した。100ウォンを1ウォンに、1000ウォンを10ウォンにした。そして、引き換えられる金額を制限した。そうして貯蓄をずっとしていた富める国民と、貧しい国民の格差をなくそうとした。しかし、暴動が起きたため、制限を解除せざる負えなくなった。また、給与をデノミ前の金額のままにしたため、労働者の給与がいきなり100倍になった。しかし、ものの数は100倍無い。。

そのため、需要過多、供給不足となりインフレが加速した。

→デノミ失敗

経済格差をなくすため、貨幣を紙くずにした。しかし、一方で国民のご機嫌を取るために給与はそのままにした。インフレ。

→政治家が経済の事を分からず政策を行うと、経済が大混乱する。

ジンバブエの例>

ムガベ大統領はお金がなければお金を刷れば良いとして、お金を刷った。その結果インフレが起き、商人は商品の値段を上げた。大統領はそれを商人が値段を不当に上げたとして、商品の値段を上げてはならないとする大統領命令を出した。そうしたら誰もお店に商品を並べなくなった。そうして、高い金額でならこっそり物を売るというヤミ取引が行われることになった。

その結果ハイパーインフレになった。

→この状況が一気に解決した。それは何か?

・人家庭当たりの使えるお金を制限するといおうやり方もある(終戦直後の日本では円封鎖という預金を引き出せる金額を抑える政策をとった)

ジンバブエでは、ジンバブエドルの信用が失われ、自然発生的に世界的に信用度の高いアメリカドルが使われるようになり、ジンバブエドルは誰も受け取らないが、アメリカドルならみんな受け取るようになった。

→インフレとは、自国の通貨の価値が下がっていくことを意味する。

今年1万円のものが来年1万2千円になったとしたら、モノの値段が上がったと考えることもできるが、20%多く出さないと物が買えないほど、通貨の価値が下がったと考えることもできる。

インフレターゲットとは、インフレ率を政府がある一定数に抑えると宣言することで、国民が消費を抑え、インフレを抑えるという政策。

フィリップス曲線(手書きです汗)

フィリップス曲線(手書き)

インフレになって困る人は、高齢者。労働者はインフレになれば給与が上がるが、高齢者は年金や預貯金だけで生活をする人にとってはその価値が下がってしまい、生活に支障をきたすことになる。

1万円の商品が、来年9000円になったら、金利は10%あるのと同じこと。一方銀行の金利は0.1%。デフレとは、現金で持っていると高金利である状態であると考えることができる。

→それが世界中の人が円を買い、円高がすすんでいる一因。円高が進むと輸出がしにくくなり、景気が悪くなる。景気が悪くなるとデフレが進む・・・というのが現在の状態。

→みなが物を買うのではなく、お金を蓄えておこうとする状態→流動性選好

インフレで給与が上がっても、もしかしたらその給与の価値は下がっているかもしれない。

逆にデフレで給与が変わらなくても、物価が下がっているのでその価値は上がっているかもしれない。しかし、「気持ち」は別。給与が上がれば嬉しいし、給与が下がれば落ち込む。

年金は本来デフレであれば下げなければならないが、年金を下げようとすると選挙に行くお年寄りが反対をする。だから下げられない。そうすると若者にとっては不利だが、若者は選挙に行かないので政治家は気にしない。

→選挙に行く人たちの事を聞く、それが政治家

池上 彰「日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)」