【ゲーム】団塊の世代にこそやってほしいゲーム、メタルギアソリッド
(2007-02-11mixiレビュー掲載文章を加筆修正。書いた当時の空気感を残したかったので、当時のストレートな表現はそのままにした)
監督:小島秀夫「メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット PLAYSTATION 3 the Best」
私の人生に一番影響を与えたゲーム、「METAL GEAR SOLID(メタルギアソリッド)」。
小島秀夫監督がMSX時代に企画した世界初のステルスゲーム(敵を倒すのではなく、敵に見つからないようにして進めていくゲーム)「METAL GEAR」が、プレイステーション時代になって続編として開発されたシリーズ。
2008年に完結編として発売されたメタルギアソリッド4までの4部作で、ゲーム性もとても面白いけれど、何より深いテーマ性のあるストーリーが素晴らしく、ストーリーを追って行くだけでも楽しめる。
以下に私なりに、メタルギアソリッドシリーズの1作目から4作目までのそれぞれのテーマをまとめてみた。
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■メタルギアソリッド(PS)・・・遺伝子からの脱却。どんな遺伝子を持っていたとしても、それをどう使うかはその人次第。
■メタルギアソリッド2サンズ オブ リバティー(PS2)・・・遺伝子に載ってない情報
-喜び・悲しみ・詩・歌・ぬくもり・愛情-などから、何を取捨選択して後世に伝えていくべきか。
「僕らは伝える義務がある、子ども達に」
「何を?」
「我々人類の間違いを」
「過ちを記憶して、伝える。その為に生きる」
■メタルギアソリッド3スネークイーター(PS2)・・・主人公の過去。戦争で戦う戦士達の気持ち。統制できるモノと何者も変える事の出来ぬ意志。忠義の美しさ、可憐さ、儚さ。
■メタルギアソリッド4ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(PS3)・・・(予告編より)
「語り告がれない事がある」
「伝えてはいけないモノがある」
「紡いではいけない命がある」
「罪は当人が償うべき」
「これだけは、次の世代に委ねるわけにはいかない」
「罪を、未来に残してはいけない」
メタルギアソリッド2のアンチテーゼ的なテーマ。「伝えなければならない事」ではなく、「伝えてはいけない事」にどう向き合い、次の世代に託すのか。
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いわゆる団塊の世代は私の両親の世代でもあるので、尊敬しているのだが、「日本を作ってきたのは俺達だ」と豪語するこの世代の人たちに対して疑問を持つきっかけとなった作品。
彼等が日本を作ってきたのは確かだが、伝えてはいけない事とか、未来に残しては行けない事の後始末はせず、自分達は逃げ切って現役引退。尻を次の世代に拭かせようとしている。
現代は、自分たちが良かれと思ってやってきたことが、すべて裏目になって出てきている。
例えば農薬を使うことで生産高が上がってお腹いっぱいに食べられるようになった。ビニールができて生活がとても便利になった。けれどその一方で環境ホルモンをはじめとする様々な問題が生まれた↓
原発の問題もそう。
生活を豊かにしようとしてやってきた先人たちの努力を非難するつもりはない。豊かさを求めることは人間の本能なのだから、環境問題を訴えることはいわばそのアンチテーゼなのだし。
豊かさがあるからこそ環境問題に目を向けられるのであって、今日の食べる物に困っている人が自然保護を訴えることはまずないのだから。
(文庫版「課長島耕作」(弘兼憲史著)12巻 P200」を参照
「どれだけ生きたかではなく、どう生きたかが、男の後ろ姿を作るのだbyヘミングウェイ」
(「髑髏城の七人」劇団☆新感線の台詞)
追っかけたいって思える背中、見せてくれよ。親父達。