イガワヒロトのブログ

志について探求を続けるイガワヒロトが、いつまでも青臭い心(ブルーハーツ)でニュース・社会・政治・教育・作品(映画、演劇、インプロ、音楽、本、DVD、TV番組・ラジオなど)の批評や日常の思った事を青っちろい言葉で記事にします。※記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属団体の公式見解ではありません。

文部科学省、大学卒業要件厳格化へ

文部科学省は、大学入試改革の一環で、入学者の受け入れ方針(アドミッションポリシー)や卒業方針の策定を義務付ける方針を決めたというニュースが入ってきました。

 

■毎日新聞 <大学>卒業要件厳格化へ…15年度に省令改正 文科省方針

文部科学省は大学入試改革の一環で、各大学に対し入学者の「受け入れ方針」(アドミッションポリシー)や卒業させる学生像を明確に定めた「卒業方針」の策定を義務付ける方針を決めた。国は大学入試と大学教育の一体改革を目指しており、「入り口」の入試改革を進めると同時に「出口」である卒業要件を厳格化。卒業する学生の質も確保することが狙いだ。来年度中に省令である大学設置基準の改正を目指す。【三木陽介、坂口雄亮】

大学入試改革のことについては、以前に書いたこちらの記事をご参照ください。

 

 

で、この毎日新聞の記事について。

取り上げておいてなんなのですが、個人的にはちょっと腑に落ちません。

 

大学入試センター試験看板

 

 

文科省は受入方針と卒業方針の策定を決めた」と書かれていますが、具体的に文科省の誰が決めたのか、例えば大臣が明言したのか、文科省が公表したのか、諮問機関が文科省へ案を提出したのか、どの段階での話しなのか明示して欲しいです。

 

 

というのも、今のご時勢、なにも特別に改革を推進している大学じゃなくても受入方針(アドミッションポリシー)、卒業(学位授与)方針(ディプロマポリシー)、さらには教育方針(カリキュラムポリシー)を定めることはまあ普通の大学ならしています。

 

 

じゃあその運用が全ての大学でうまくいっているかといえば、必ずしもそうではないかもしれませんが、この記事にはその策定と明示が義務化されたこと「だけ」しか説明がされていません。

 

 

そんなこと、今更ニュースになるようなことではないんです。

 

だからこの記事の取り上げ方は解せないし、元ソースを教えて欲しいと思ってしまいます。

 

 

ただし、恐らく予想するにこういった記事になるということは、何らかの動きが文科省であることは確かだと思います。

そして元ソースでは、もっと実態に即した具体的な改革案が示されているはずです。

 

 

しかし、大学業界のことを良く分かっていない記者がインパクトのある表現でこの記事を書こうとしたため、全然本質ではない部分だけを取り上げた記事に仕立ててしまったということなんじゃないかなと。

 

 

繰り返し言いますが、元ソースを見ていないのであくまで予想ですが、今よりもより具体的な受入方針や卒業用件を求める方向に、今後高等教育機関は進んでいくのかなと思います。

 

 

例えば、受入方針といっても、現状では単に「○○の資質があること」みたいな概念的な表現になっているところを、それに加えて「大学入学希望者学力評価テスト(以下「大学希望者テスト」という)で○点の能力を有するもの」という用件も設けることを義務化するなど。

 

 

それはどういう意味かというと、現在はAO入試や推薦入試では、実質学力評価がなしで受験できる大学もありますが、全ての大学の全ての入試で学力評価をしなければならず、かつその評価の実施状況を明示しなければならなくなるということです。

 

もう少し具体的にしますと、例えばA大学では大学希望者テストで100点満点のところ80点をボーダーとするが、B大学では50点をボーダーとするみたいになる。

 

 

もしその状況になると、現在の大学評価の基準自体が変わってきます。

 

現状では河合塾駿台予備校が大学の入学偏差値を独自調査して公表し、それがある一定の大学のレベルを判断する尺度に用いられています。

 

 

しかし、各大学が受け入れ方針の明確化をして、受け入れる点数まで公表をすることになったとすると、各大学が入学者を集めるラインを見定めて、実質の偏差値ラインのような指標を公表するということです。

 

このボーダーを高く設定しすぎると、受験生が集まらないかもしれないし、低すぎると社会からの評価が下がるという選択を各大学が迫られる、つまり偏差値に代わる尺度が、生まれるわけです。

 

 

まあいきなりここまでドラスティックな大学設置基準の変更を行うことは考えにくいですが、長期的な視点で日本の高等教育を見てみると、そうもいえないかもしれません。

 

 

同じく財政難で苦しんでいるお隣の国、韓国では、実現には至っていないものの、大学・専門学校358校の4分の1にあたる87校前後を統廃合するという話もあるそうです。

(参考:武庫川女子大学教育研究所 安東由則教授研究レポート「韓国における高等教育政策の動向と大学の現況」)

 

 

 

マーチン・トロウが訴えた大学のユニバーサル化(高等教育機関への進学率50%以上の状態)を迎えた中、今、ニッポンの教育の進むべき道はどこなのか、問われています。

 

 

 

ではでは今日はここまでです。

ではでは。

 

 

 

高学歴社会の大学―エリートからマスへ (UP選書) マーチン・トロウ (著), 天野 郁夫 (翻訳), 喜多村 和之 (翻訳) 東京大学出版会

 

 

韓国大学改革のダイナミズム―ワールドクラス(WCU)への挑戦 馬越 徹 (著) 東信堂

 

 

新堀通也の日本教育歴年史 1979‐2004 安東 由則 (編集)  北大路書房