イガワヒロトのブログ

志について探求を続けるイガワヒロトが、いつまでも青臭い心(ブルーハーツ)でニュース・社会・政治・教育・作品(映画、演劇、インプロ、音楽、本、DVD、TV番組・ラジオなど)の批評や日常の思った事を青っちろい言葉で記事にします。※記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属団体の公式見解ではありません。

日本人の「マンガ」が世界一の理由

僕が好きで良く観ている「100分で名著」のスペシャル番組「100分de日本人論」が放送されていました。

この番組から、日本人の「音」への感性についての話しのメモ

折口信夫著の「死者の書」を中心に話し合われていた。

・日本には、先祖が子孫を思っているという思想がある。

・独特の擬声語が用いられている。

「こうこうこう」「しっとしっと」「したした」「はたはた」など

・これは、日常生活で聞こえる音を表現しているのではなく、例えば自身がお墓の石になって、石から聞こえる音を表現するなどをしているため、独特の擬音を用いている。

・この様に日本人は、モノになりきるチカラがある。

作者はモノになりきって音を感じ表現するチカラがあるし、読者はそれを感じるチカラがある。

・また、オリジナルの擬声語をマンガで表現するのも日本独自である。

ドッギャアーン

・外国の漫画では「ZZZ」と書いたら寝ているとかある程度決まっている。

ジョジョの奇妙な冒険の「ドッギャアーン!」とかが分かりやすい例

以前に養老孟司さんがラジオで仰っていたことですが、マンガの構造を考えると、日本的な思想が見えてきます。

日本人は漢字を訓読みにした時から漢字を日本語に昇華させました。

漢字を書いて、そこに訓読みでルビを振る構造は、マンガと同じ構造であると養老先生は言います。

つまり、漢字も漫画も、意味のある絵にルビを振っているということです。

例えば、「山」であれば、漢字が日本に入る前から山を見て「やま」と言葉で話していた所に、一番「やま」っぽい字に「やま」とルビを振ったわけだ。その「山」ももともとは象形文字なわけで。つまり意味のある「山」っていう絵に「やま」というルビを振ったものが訓読みする漢字の構造だということです。

この文化が転じて、例えば「うるさい」という言葉は「五月蝿い」という五月に飛んでいるハエを文字を使った絵で表して、そこにうるさいと表現したし、マンガで言えば↓の様に、悲しみの中にもほっとした、そして医者へ感謝もしている遺族の表情という意味のある絵に「最後まで・・・・・・ありがとうございました・・・・・・」というルビを振ってお話しを表現しているわけです。

ブラックジャックによろしく1巻P140

ブラックジャックによろしく」 佐藤秀峰著 漫画 on webより

脳科学的にも、漢字を読むときとマンガを読むときは同じような働きをするそうです。

漢字は一つの文字に読み方が複数ありますが、これも日本語独特です。

そのため、前後の文脈によって読み方やその漢字が持っている意味すらも変わったりします。

これもマンガに近いですよね。マンガも例え同じような絵が描かれていたとしても、前後の関係が違えば吹き出しに書かれる言葉は変わるわけですから。

養老先生の場合は、うる星やつらという高橋留美子さん原作のマンガに出てくる錯乱坊(さくらんぼう)を引き合いに出して説明されていました。

錯乱するお坊さんの絵を描いて、そこに「錯乱坊」と漢字で書かれていて、そこに「チェリー」とルビが振ってあるシーンがあるそうです。

要は、原作者の高橋留美子さんは、上記のマンガと日本語の構造を良く分かった上で、ギャグマンガを描いていて、錯乱するお坊さんに「錯乱坊」と振るまではマンガとしての表現をして、「錯乱坊」に「チェリー」とルビを振ることでギャグにしているわけです。

こう考えると、日本人が世界の中でマンガを描く能力が圧倒的に高い理由が見えてくると思いませんか?

私たち日本人は、大人から子どもまで、老若男女問わず、常日頃から漫画的な思考で文章を書き、モノを考えているのです。

しかもその環境で1000年以上文化を積み重ねている歴史もあるのです。

この「図」で物事を理解できるという世界トップクラスの能力はマンガ以外にも世界を引っ張っていける潜在能力を秘めています。

グローバル社会は、日本人が、当たり前に考えていて意識化していなかった良さや強みを改めて見返し、世界中の人や自然に貢献できるチカラを再考する機会を我々に与えているのではないでしょうか。

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マンガをもっと読みなさい―日本人の脳はすばらしい 養老 孟司 牧野 圭一著 晃洋書房