井川ヒロトのブログ

志について探求を続ける 井川 ヒロト が、ニュース・社会・政治・教育・作品(映画、演劇、インプロ、音楽、本、DVD、TV番組・ラジオ)などについて思った事を綴ります。※記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属団体の公式見解ではありません。

我々は小保方さんを許すべきか?

前回の記事で、大学生のトレンドとして、リケジョが増えてきているという内容を書きましたが、奇しくも、STAP細胞の検証実験が残念な結果に終わった、理化学研究所小保方晴子研究員が本日付で退職予定であると報道されました。

 

彼女が行おうとした挑戦は失敗したわけです。

 

よく、「マスコミによる個人叩き」と言われますが、今やマスコミよりもネット社会の方が「個人を叩く」力は強いように感じます。

 

小保方さんも今回の件ではだいぶ叩かれているようで、自殺をしてしまわないかと心配しています。

 

私は、失敗にもっと寛容な社会になるべきだと思います。

 

なぜなら、21世紀は20世紀のように、これまで培ってきた技術を向上させていけば成功できる社会ではなく、イノベーションを起こし、新たな付加価値を創り出していくことが求められている時代になったからです。

 

イノベーションは、単一の考え方を持っている人の集団では生まれにくく、異なる背景(人種、性別、宗教、文化、歴史など)を持っている人同士が合わさるときに、できやすいものです。

 

異なる背景を持つ人同士が、それぞれの違いを尊重しあって協働することをダイバーシティと言ったりしますが、このダイバーシティに必要な要素の一つは、「失敗への寛容さ」だと思うからです。

 

台場

 

異なる価値観を持った人が、協働するわけですから、そりゃあ同一民族・同一文化・同一言語で「あ、うんの呼吸」で活動するよりは失敗も多いわけで、いちいち失敗に対してマイナスの評価をするようでは、イノベーションを起こす風土は作られません。

 

失敗をグジグジ言ってる暇があったら、次のトライに取り掛かるくらいのマインドがなければ、ダイバーシティイノベーションも起こせず、結果としてその組織は衰退していく時代になってきているし、これからますますそうした傾向が顕著になっていくと思います。

 

日本では、ダイバーシティというと、「女性の活躍促進」といった文脈でのみ捉えられることが多いですが、裏を返すと、それすらできていない。さらに裏を返すと、他文化への寛容さにおいて、伸びしろがまだまだあるということです。

 

 

そう考えると、少し大げさかもしれませんが、世界を巻き込んだ一人の日本女性をめぐるこの一件は、日本社会に対し「失敗への寛容さ」を投げかけているのかもしれません。

 

冒頭に申し上げたとおり、マスコミだけが情報発信をしていた20世紀までは、マスコミという異業種の人たちに時代の流れや世間の風潮の責任を押し付けることもできたのかもしれません。

 

しかし、誰もが情報発信ができるネット社会では、社会の構成員の一人だけではなく、「世間」を構成しているのも我々一人ひとりです。

 

 

世の中にはまだまだ不条理なこと、問題が山積しています。

我々の手で、より明るい未来を創り出していく社会への一歩を、この一件を経て進められることを、ネット社会の構成員の一人として願っています。

 

 

 

多様性を活かすダイバーシティ経営 基礎編 荒金 雅子著 日本規格協会

 

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