池上彰のやさしい経済学 第十三回 リーマンショックとは何だったのか?
昨年BSジャパンで池上彰のやさしい経済学という番組が放送された。
非常に興味深かったが、残念ながら私の家ではBSが観られないため、1回あたり2時間(講義は90分)、14回連載の番組だが、実家で録画してもらった。
それをやっと少し最初の数回観ることができたため、その講義メモを書いておきたい。
池上 彰「知らないと損する 池上彰のお金の学校(朝日新聞出版)」
以下、講義メモ。
池上彰のやさしい経済学 第13回 リーマンショックとは何だったのか?
アメリカには3つの種類の金融機関がある。
●商業銀行・・・日本の銀行とほぼ同じ。お客さんからお金を預かり、お金が必要な企業へ投資する。潰れそうなときにはFRBが救済をする。
●証券会社・・・上場企業の株をやり取りする機関。SEC(証券監視委員会)証券会社が法律違反を行うような取引を行っていないかとチェックする機関。
●投資銀行・・・投資銀行にはチェック機関がない。なぜならプロの投資家だけが取引の対象だから。企業買収、倒産企業の立て直しなどを行っていた。ゴールドマンサックス、リーマンショックなど
サブプライムローンとは:サブとは二番手、プライムとは優良な、ローンは貸付。プライムローンとは安心して間違いなく返してくれる金利の低い優良ローンのことを言う。
信用があまりない人に、金利を高くしてお金を貸すローンをサブプライムローンという。
返さない人が一定数いることをあらかじめ見込んで、それでも利益が出るように高い金利を組んでいる。つまり、ローンを返済している人は、踏み倒す人の分も含めて返済している。
アメリカでは2006年を境に住宅価格の下落が起こった。
住宅ローン日米の違い:日本は担保の値段が落ちた場合は、その差額分は借りた人が返さなくてはならない。アメリカは、担保の土地と家を返せばそれで借金は返済される。
住宅ローン会社はリスクをできるだけ取らないようにするために、住宅ローンを貸した債券(貸したお金を返してもらう権利)を投資銀行へ売って、リスクを押し付けた。
投資銀行はリスクをとらないようにするために、債券を証券として金融機関に売ることでリスクを押し付けた。しかし、一つの債権の販売では、債券が不良債権になる可能性があるため、色々な債権、株、社債をセットにして、リスクを低くする商品にして販売した。
その証券を買う金融機関の担当者がリスクを取らないようにするために、その金融証券が安全であることの証明が必要だった。そのため、格付け会社が金融証券の安全性を評価することで、金融機関の担当者のリスクを取らないで済み、金融商品を金融機関が安心して買うようになった。
格付け会社はスタンダードアンドプアーズ、フィッチなど
1929年の世界大恐慌前にも、アメリカで住宅バブル(ブーム)があった。
ITバブル(1990年代末~2000年)
住宅バブルがはじけ、住宅ローンの債権が暴落した。しかし様々な金融商品を混ぜた商品だったため、金融商品の中身が何かが金融商品を買った人が分からなくなった。値段も分からなくなった。
その結果、世界中の金融機関が疑心暗鬼に陥り、お金の貸し借りを金融機関同士でしなくなった。そのさなか、資金を集められなくなったリーマンブラザーズが倒産した。
当時のアメリカのブッシュ政権は、自然な市場競争に任せるべきというフリードマン的な思想に立ち、リーマンブラザーズの救済をしなかった。
その結果、多くの金融機関で融資を控えるようになった。
自動車ローンも金融機関は控えるようになり、アメリカで車の販売が止まった。その結果クライスラー、GMが会社更生法を申請。ドバイショックも起こり、世界的な不況をもたらした。
責任を問われた格付け会社は、「格付けは一つの意見を表明したに過ぎず、その意見をどうとらえるかは、捉えた会社の自己責任」という表明をした。
債権の証券化
池上 彰「伝える力 (PHPビジネス新書) 」