井川ヒロトのブログ

志について探求を続ける 井川 ヒロト が、ニュース・社会・政治・教育・作品(映画、演劇、インプロ、音楽、本、DVD、TV番組・ラジオ)などについて思った事を綴ります。※記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属団体の公式見解ではありません。

劇団カプセル兵団「ぼくの携帯は次元転位装置つき」


お芝居仲間に誘われ、カプセル兵団(http://www.kapselheidan.com/)の「ぼくの携帯は次元転位装置つき」http://www.kapselheidan.com/yokoku-1.htmlを阿佐ヶ谷アルシェに観に行きました。


カプセル兵団は前々から興味のあった劇団でしたが、今まで観に行く機会がなかった劇団でしたので、お誘いがあった時は二つ返事でした。


元々、私はカプセル兵団主宰の吉久直志さんが所属していた惑星ピスタチオhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%91%E6%98%9F%E3%83%94%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%81%E3%82%AA)という劇団がずっと好きでした。
パワーマイムという演技手法を取り入れた演技をするのが特徴的な劇団で、学生時代私はそのパワーマイムを夜遅くまで、いや深夜まで、いや周りの人が呆れるまで、いや呆れられてもずっと真似していたのを思い出します。


パワーマイムについては説明するよりも、観ていただいたほうがその面白さは分かるかと思います
http://www.youtube.com/watch?v=2dehQz1X-EU&feature=related(今ではテレビでお馴染みの佐々木蔵之介さんのデビルマン
http://www.youtube.com/watch?v=MFG88DTsS_c&NR=1(「破壊ランナー」のスタンプペッタン)


話しは戻って、お芝居の内容ですが(ネタばれ注意です)、



姿時郎博士が次元転位装置(タイムマシン)を開発した。ただし、物体を次元を越えて移動させるには莫大なエネルギーが必要なため、電波だけを移動させることができる理論の実験に成功。それによって、不確定な未来ではなく、過去に電話をすることができる携帯電話のプロトタイプが完成する。
その携帯電話を使って、過去に事故で亡くなった恋人を生き返らせようと、研究員の山下日和子は携帯電話を持ちだして脱走、JCIA(ジャパンCIA)に追われることに。
山下が逃亡している途中に偶然居合わせたサラリーマンの木戸マコトとも行動を共にし、唯一過去の恋人を救う手段である、時空の渦を目指す。
果たして無事に時空の渦へはたどりつけるのか?そして、個人的な願望で、過去を変えてしまってもよいのだろうか?恋人は蘇るのか?



感想としては、皆さん全身全霊で演技をしていて、すっごく伝わってきたし、全身全霊でお客さんに伝えることの大切さを改めて感じることができました。


その中でも青木清四郎さん(http://yaplog.jp/aoki_enjou83/)の演技は、以前キャラメルボックスで役者をやっていた私の好きな今井義博さん(http://spysee.jp/%E4%BB%8A%E4%BA%95%E7%BE%A9%E5%8D%9A/1125015/)を思い出させてくれて良かったです。演技から人柄が伝わってきて、その役に「ガンバレ」って思わせるところとか。(あと汗だらだらなところとか^^;)


舞台はファッションショーの様にT字型で、その周りをお客さんが取り囲むような形でしたが、その形も上手く利用して、時間や空間の移動を上手く表現されていました。


パワーマイムやギャクも満載でとっても面白かったです。


ただ、逃亡中の研究員山下が、偶然会ったサラリーマンの木戸に自分の身の上話をするシーンは、設定にもう一工夫あっても良いかなと思いました。話しの構成としては、研究所から脱走して5年間、誰も信じず一人で逃げていた山下に最初フォーカスが向かって、感情移入しているのですが、山下の気持ちになると、偶然知り合って間もない男にペラペラと事情を説明する気持ちがどうしても共感できなくて、「山下も5年も一人だと寂しかったのかな?」とか考えたりして、ストーリーから意識がフッと自分に戻ってしまったので。


でもそれ以降のお話を考えると、流されるまま生きてきた平凡サラリーマンの木戸が変わっていく姿を描いていたので、あえてその様にしたのかもしていたのかもしれません。


最初はお客さんの感情移入を山下にさせて→一度お客さん自信に気持ちを戻して→木戸に感情移入をさせる。



とか何とか、評論ぶりましたが、総じて面白かったですし、観に行って良かったと思える作品でした。


特に「慣れてから何かを始めても、大抵のことは手遅れ」という台詞は私の心に染み入りました。上のパンフレットの写真にも、芝居観ながらその言葉が殴り書きでメモしてあります。